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「リーディング大学院」ってどんなとこ?(3) ~GCL編~

こんにちは、化学システム工学科4年の柴山です。
Ttime!ではwebの取りまとめを務めております。が、実は東京大学のリーディング大学院であるGCLの広報も担っていて、GCLの中身を結構知っておりますムフフ。

そこで本日はシリーズ最新作、『リーディング大学院ってどんなとこ?』GCL編をお届けしたいと思います。
リーディング大学院ってなんだよ、という方にはこちらの記事もございますのでご覧ください。

「リーディング大学院」ってどんなとこ?(1) ~MERIT編~ .

前回記事もどうぞ:「リーディング大学院」ってどんなとこ?(2) ~GSDM編~.

[caption id="attachment_794" align="alignnone" width="300"]gcl-student-party 昨年度のGCL学生交流会の様子[/caption]

▶GCLとは


GCLとはGlobal Creative Leaders(正式名称は「ソーシャルICT グローバルクリエイティブリーダー育成プログラム」)の略称です。ICT(情報通信技術)を解決手段として、社会的なイノベーションを起こす博士卒人材の輩出を目指しています。

解決する問題はなんでもありなので、医学系、農学系、公共政策大学院、教育系、工学系など、多様な専攻からの募集を受け付けています。募集専攻はこちらからご覧になれます。

工学部学生にも関係のある研究科からだと、情報理工学系研究科、工学系研究科(都市工学専攻、電気系工学専攻)から参加できます。

GCLの先生方の意識としては、異分野を超えたつながりが新しいものを生み出し、社会問題の解決につながる、というものがあるようです。

※なお、僕の所属することになりそうである化学システム工学専攻からは行けません。。。

 ▶ GCLの特徴


たくさんあるのですが、他のリーディング大学院とは異なる!という点について取り上げてみます。

作成にあたってはコース生修士2年生の澁田さんにご協力いただきました。ありがとうございました!

所属学生の多様性


コース生の多様性から、同じ問題に対しても様々な角度(技術系、経営系、医療系など)からの見方があるとわかります。特に、「トップリーダー論」という授業で問題の本質の抽出、解決策の考え方などについて意見交換すると実感するようです。

カリキュラムの特徴としては、各学生にとって専門でない分野についての授業が必修となっている点があります。ICTを問題解決方法として掲げているコースなので、文系には技術に関する知識を、理系学生には技術を実際に運用するための法律や経営の知識を身につけてもらうことでコンセプトの達成を図っています。

ワークショップ体得プログラム:GDWS


コース生は必修のものに、ワークショップを体得するGDWSがあります。A, B, Cとステップアップしていくようになっており、AはM1で必修。BはM2までの間に必修となっています。

Aはワークショップ体験となっており、昨年の例では4人の専門の異なる学生でレゴブロックを使ったお店を建てたり、海鮮丼を売り出すキャッチフレーズを考えたりしました。Bでは、数ヶ月〜半年ぐらいかけて1つのプロジェクトを回して、実際にフィールドワークをしながら課題抽出を行っていきます。Cは主に博士向けで、学生が設計して自分の研究のためにワークショップを開いていく形式となっています。

ICTとの関連ということで言うと、昨年のワークショップBには認知行動療法(うつ病患者などに行われる心理療法の一種)のアプリを開発するものなどもあったようです。このように、ICTを実際に問題解決手段とする能力およびワークショップによる課題抽出を行う能力が鍛えられていくわけです。

インターン


学生が主にM2の間に、6ヶ月(国内3ヶ月、海外3ヶ月が望ましい)行くことになっています。インターン先は自分の研究に役立つように、自分の好きに選べます。行き先の交渉は基本的には自分で全て行いますが、先生方のツテなどを借りることもできるようです。ベースとなっている情報理工学系研究科がそもそもインターンを行っているので、その前例も参考になります。M2はまだ1期生なので、これからの活躍が期待されます。

なお、インターンには研究だけじゃなく社会との繋がりを意識させる意図があるようです。

英語学習


毎週土曜日に集まって、少人数授業を受けます。もちろん全て英語。昨年はスライドの組み方、デザイン、喋る際の抑揚、質疑応答の仕方といったプレゼンテーションの技術を英語で教えてもらったようです。今年はディスカッション、ディベートも加わり,年々パワーアップしているとのことです。

世界に通用する人材を輩出するためには必要なことです。

[caption id="attachment_795" align="alignnone" width="300"]global design leading researcher cafe global design leading researcher cafe[/caption]

[caption id="attachment_793" align="alignnone" width="300"]講義形式の授業の様子 講義形式の授業の様子[/caption]

産業界との強いつながり


GCLプログラムを作る際に、大学・企業・国で連携してプログラムを作っています。企業の人が受け持ちで授業を行ってくれたり、官僚によるオムニバス授業なども開講されていて、広い視野を持つことが出来ます。

学生の自主性を重んじる


GCLラボという部屋が工学部3号館(僕のいるところです!)にあるのですが、こちらは学生がそもそも共同作業のできるスペースをGCLの先生方へお願いしたところからスタートしました。その設立においては学生が内装デザインから備品まで全て決定しまして、今は学生により運営されています。

gcl-labo gcl-lab

他にも、GCLコース生5人が参加して春休みに1ヶ月のフィリピン研修も実現しました。英語力向上を目的とし、活動目標は社会課題解決としました。現地でフィールドワークなどを通してフィリピンの社会問題解決のための方法を提案しました。研修最終日にはGCLの先生方、フィリピンの方をお招きして報告会を開催しました。

フィリピンは国民の平均的なビジネス英語のうまさがネイティブの国を除いて世界1位となっていて、英語研修の行き先として適していました。

研修を通して、問題発掘→関係者へのヒアリング・調査→解決策の提示の3つを行ったようです。

研修の様子は、研修をサポートしてもらった会社のサイトでも紹介されています!

終わりに


いかがでしたでしょうか?

ICTという解決方法を持った学生・ICTを使って
自分の研究分野について解決策を模索する学生とがいて、
色々な取り組みを始めるきっかけとなる場になっていると感じました。

 

お読みいただいたみなさんにはこんなリーディング大学院も
あるんだな~と、頭の隅に入れておいて貰えればと思います!

(インタビューにご協力いただいた澁田さん、ありがとうございました!)

(執筆:柴山 翔二郎)