東大工学部のイマを伝えるホームページ
工学部の先生が担当されている主題科目から、全学体験ゼミナール「ロボット競技を体験しよう」をご紹介します。 私も2018年の学部1年生から2年生にかけて履修していました。 2018年から2019年にかけての開講日は、Sセメスターが金曜6限、Aセメスターが水曜6限でした。
この記事では、
の3つのポイントから授業の面白さを伝えられたらと思います。
ロボット競技とは、決められたルールに従ってオリジナルのロボットを製作して競わせるものである。 ルールを徹底的に分析し、討論して最適戦略と最適マシン仕様を策定し、(中略)協力して最強のマシンを設計・製作・改良・検証する ーシラバスより
ここでのロボット競技とは、「NHK学生ロボコン」と言う名前のロボットコンテストを指します。 NHK学生ロボコンとは、日本全国の学生が競技課題に対してオリジナルのロボットを製作し、競い合う大会です。
競技課題は毎年変わり、これまでには、馬のように4足で歩くロボットを作ったり、2台のロボットでラグビーボールやバドミントンをする課題などがありました。 毎年個性あふれるロボットが登場し、熱い戦いを見せます。 年に一度の大会に向けて、北は北海道、南は九州まで多くの学生が参加し、大会の様子はNHKで放送されています。 NHK学生ロボコンに優勝すると、その世界大会であるABUロボコンに出場できます。ABUロボコンには、中国やタイ、ベトナムやインドなどアジア地域の学生たちが集います。
東京大学には「RoboTech(ロボテック)」と言うロボコンチームがあり、サークルとして活動しています。 授業「ロボット競技を体験しよう」はその活動と連動しています。
実際に、ロボットの設計・加工・組み立てをしたり、回路の基礎的な設計と実装をしたり、ロボットを動かすためのプログラムを触ったりして、チームでロボットを作って競技に出ます。 チーム内でそれぞれ機械、回路、制御の3つのパートに分かれ、分担してロボットを製作します。
1年生の間は、「ロボット競技を体験しようA・B」の時間を使って2つの新入生大会に取り組みます。 私は、1年生の夏休みに「F3RC(エフキューブアールシー)」、春休みに「関東春ロボコン」に出場しました。
ゼミの時間では主に、ロボット作りのための講習と、大会準備の2つを行います。 講習では、RoboTechに所属する先輩がそれぞれの機械・回路・制御担当で必要な基礎知識を、イチから講義や実習で教えてくれます。 大会準備では、講習で習ったことを活かして、チームに分かれて大会ルールを読み、戦略を立てたり、ロボットの設計アイデアを考えたりします。
実際にロボットを作る時は、本郷キャンパスにある工学部の施設を利用します。 アルミのパイプを切って穴を開けたり、回路の半田付けをしたり、できたロボットを走らせてテストしたりと、充実した環境で、自分たちの手で自分たちのロボットを作っていくことができます。
2020年も、感染対策を十分行った上で実習が行われたようです。
私が1年生で授業を受講し始めた頃は、ロボットをどうやって作るかはおろか、まずどうしてロボットが動いているかすらよくわかっていない初心者でした。 Sセメスターをかけて、3D CADの使い方や、機械加工の方法、安全講習、ロボットに使われる機構、などの勉強をしました。 ゴールデンウィークや長期休みを使って、本郷キャンパスでじっくりロボット作りに取り組みました。 先輩や同輩に支えられ、1年生の夏休みには自分で一台のロボットを設計してなんとか大会に出場することができました。 チームでの連携がうまくいかなかったり、予定通りにロボットができなかったりと、苦しい時間もありました。 一方で、さっぱりわからなかった先輩の話が段々とわかるようになり、自分の手でパイプを切り出して作ったロボットが動き始めた時は、とても嬉しかったです。 結果は予選敗退でしたが、大会が終了し、マシンを段ボールに詰めた時は、充実した気持ちになったのを覚えています。 ロボコンを始めてよかったなと思えました。
(RoboTech公式HPより)
主題科目「ロボット競技を体験しよう」は、学部3年生以降、工学部の創造的ものづくりプロジェクト「ロボット競技プロジェクト」となって続きます。 文系理系問わず、初心者から学部3年生までしっかり取り組める授業です。 興味があればぜひ1年生から受講してみてください。