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こんにちは! マテリアル工学科ナノ・機能マテリアルコース3年の辻悠基です。 この記事では、なぜ文科生だった私が進学先にマテリアル工学科を選んだのか、そして2年秋学期(2Aセメスター)と3年夏学期(3Sセメスター)の時間割はどのようなものか、ということを紹介していきたいと思います。 マテリアル工学科に興味のある駒場生、そして工学部への進学を考えている文科生の皆さんの参考になれば幸いです。
入学当初、私は法学部に進学するつもりのごく普通の文科一類生でした。 そんな私が工学分野に興味を抱くきっかけとなったのは、1Sセメスターに受けた池上高志教授の物理科学Ⅰ(文科生向け)という講義でした。 この講義は物理の古典論からはじまり量子力学や複雑系に至るまでの概論を一通り解説し、それが現在のコンピュータや人工知能などにどう関わっているかを講義するという内容でした。 物理初学者の私にとって難解な部分も多々ありましたが、講義が進むにつれて今までに聞いたこともなかった概念や考え方を次々と提示され、一気に視界が広がっていくような感覚を覚えました。
それから化学や物理をはじめ、様々な分野の講義を積極的に聴講するようになり、次第に工学部への進学を考えるようになりました。 その中でも電子物性(注1)を専門にされている先生のお話に特に関心を持ったことから、電子物性を学ぶことのできる物理工学科、電気電子工学科、そしてマテリアル工学科に候補を絞りました。 最終的には電子物性に加え、金属や高分子など様々な材料についても学ぶことができるという点に惹かれ、マテリアル工学科を選びました。
ここからは、2Aセメスター・3Sセメスターの時間割を通してマテリアル工学科での学びを見ていきましょう! 2Aセメスターの時間割はこのような感じでした。 (下線のある講義はターム制講義です)
月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 | |
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1 | 材料力学 材料相平衡論 |
生命科学概論 | 材料力学 材料相平衡論 |
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2 | 材料量子力学 無機材料化学 |
材料速度論 | 計測通論A | 材料量子力学 無機材料化学 |
材料速度論 |
3 | 材料結晶学 有機材料科学 |
材料結晶学 有機材料科学 |
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4 | 基礎熱力学 材料統計力学 |
数学1A | 基礎熱力学 材料統計力学 |
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5 | マテリアル 工学概論 |
マテリアル 工学自由研究 |
マテリアル工学科は生体材料を扱うバイオマテリアルコース、鉄鋼などの構造材料を扱う環境・基盤マテリアルコース、そして原子・分子スケールの物質構造を扱うナノ・機能マテリアルコースの3つのコースで構成されています。 しかし2Aセメスターではコースに関係なく、マテリアル工学を学ぶ上で必要な基礎を培っていきます。 合金の組成と温度による様々な相の変化について状態図を使いながら学ぶ材料相平衡論や、物質や熱の拡散の速度を学ぶ材料速度論といった特徴的な講義や各コースの研究内容をオムニバス形式で学んでいくマテリアル工学概論、マテリアルに関連する課題について4~5人の班で教員のもと調査、討論を行い発表するマテリアル工学自由研究、そしてMIT(マサチューセッツ工科大)を訪問し、プレゼンテーションを行う講義(注2)など、様々な内容や形式の講義があります。
時間割から分かる通り、ほとんどの講義が週2回のターム制で行われるところがマテリアル工学科の特徴です。 授業の間隔が短いので復習は大変ですが、前回講義の内容が鮮明なうちに次の講義に入ることができるというメリットもあります。 また、マテリアル工学科では2Aセメスターから水曜日の工学部共通科目を除いて、工学部4号館の教室で講義を受けることになります。 4号館では全ての講義が一つの教室で行われるので休み時間が移動で無くなるということもありません。
3年生からはいよいよ工学部生としての生活が始まります。 3Sセメスターの講義は以下の通りです。
月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 | |
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1 | 材料電気化学 金属材料学 |
応用熱力学 | 材料電気化学 金属材料学 |
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2 | 組織形成論 無機材料化学 |
材料強度学 材料力学Ⅱ |
数学2F | 組織形成論 無機材料化学 |
材料強度学 材料力学Ⅱ |
3 | (実験) | 材料反応工学 半導体物性学 |
(実験) | 材料反応工学 半導体物性学 |
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4 | (実験) | 固体物性学 表面・界面化学 |
(実験) | 固体物性学 表面・界面化学 |
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5 | マテリアル シミュレーション |
マテリアル 工学輪講 |
このうち、必修科目は実験のみです(コロナウイルスの影響で2020年度はオンラインでの実験となりました)が、こちらもコースに関係なく多くの学生がほぼすべての科目を履修しています。 内容を見ていくと、2Aセメスターで学んだ内容をもとに少しずつ専門的な内容に入っていきます。 金曜5限のマテリアル工学輪講というのは、10数個あるマテリアル工学についてのテーマの中から関心のあるものを選び、セミナー形式の少人数講義で輪読を行っていくというものです。 この講義は基本的に英語で行われるので初めはとても大変ですが、慣れるとその分野の知識に加えて英語力がついていくことも実感できます。
最後に、文科出身の私がマテリアル工学科の講義を受けてみた感想をお話しして紹介を終えたいと思います。
駒場時代には基礎程度の数学と力学、電磁気学しか学んでいませんでしたが、全体として基礎から丁寧に積み上げていく形式で講義が行われていたので、復習さえしっかりとすれば十分に内容を理解することができました。 唯一後悔したのは、2Aセメスターまでに熱力学に触れていなかったことです。 熱力学は材料工学に不可欠な分野なので、これの基礎がなかったために様々な講義で概念の理解に苦労することになりました。
いかがでしたか? マテリアル工学科では材料工学の基礎を、金属などの基盤材料、バイオ材料、ナノ・機能材料という幅広い分野について学ぶことができます。 また、進学選択時のコースに関わらず研究室を選択することができるので、実際に学んでみて関心を持った分野を専攻することができます。 興味を持っていただければ、文科生も理科生も、ぜひマテリアル工学科への進学を検討してみてください! お待ちしています!
(注1)電子物性:原子レベルで電子の状態を考えることで、電気や磁気といった物質の様々な性質を理解する分野。 (注2)この講義はAセメスター終了後のWセメスター(春休み期間)に開講される講義です。 昨年度の訪問(2020年2~3月)は新型コロナウイルスの影響で延期されています。