システムに向き合う
こんにちは!システム創成学科知能社会システムコース3年の山下優樹です。今回は、そもそも「システムとは何か」、そして学科の授業や雰囲気をお伝えします。
システム創成学科、通称「シス創」では、システム工学、システム科学と呼ばれる領域を扱っています。みなさんは「システム」という言葉にはどんなイメージがありますか? システムとは、相互に影響を及ぼしあう要素がまとまってできたもののことで、皆さんの身の回りのものは全てシステムとして捉えることができます。システムの例としては、生態系、物質の中の分子の繋がり、人間関係などが挙げられます。複雑なもの・ことでも、要素やその間の関係をシステムとして記述することで、本質が見えてきます。モデリングとシミュレーションはその手法の1つで、災害、交通、人の流れなどの複雑な物理・社会現象でも実験や観測による分析をすることができます。システム創成学科では、このように多様で複雑な諸問題に対して課題とその解決策を見出し、新たなシステムを創造することに取り組んでいます。
システム創成学科にはA(環境・エネルギー)、B(システムデザイン&マネジメント)、C(知能社会システム)の3つのコースがあり、英語名称に由来してそれぞれE&E、SDM、PSIと呼ばれています。幅広いシステム工学の中から扱う領域が各コースによって異なり、それぞれ大まかには環境・エネルギー、物理シミュレーション、社会シミュレーションです。授業は、全コース合同で工学の基礎となる数学や物理学を学ぶものと、コースの分野に特化したテーマを扱うものがあり、学年が上がるにつれ後者の割合が増えていきます。私が所属する知能社会システムコースでは、プロジェクトマネジメントや経済・産業に関する授業が開講されています。
システム創成学科の大きな特徴はコースの分野に特化した実践的な演習であるプロジェクト型演習です。これは、いくつかのテーマから選択して取り組むことができ、動機付けプロジェクト、基礎プロジェクト、応用プロジェクト、領域プロジェクトの順に2Aから4Sまでの各セメスターに開講されます。
私は動機付けプロジェクトで「Introduction to Machine Learning」を選択しました。このプロジェクトでは、近年話題となっている機械学習について数学的な理論から自分の手で実装するところまで学び、最終課題として手書き文字認識のプログラムを作りました。私にとって機械学習に取り組むきっかけとなり、文字通り「動機付け」のプロジェクトになりました。
基礎プロジェクトでは2つのテーマに取り組みました。「人間行動記録システム」では、Stakeholder Value Networkという手法で産業や社会システムの依存関係や利害関係を図示し、その関係をよりスマートにするようなGPS機能によるサービスを考案しました。一例としては、お年寄りの介護・見守りサービスに関わる人やお金の動きを分析して、どんな位置情報サービスがあればより便利になるかをチームで議論しました。そして、Google Mapsの位置情報API(アプリケーションを外部から呼び出して利用できる機能)を使って、簡単なWebサービスを実際に作ってみました。「学術知識を用いた社会課題の解決策コンテスト」では、今年1月に最多リツイート数を記録したツイートに関連した約670万件のツイートデータに対して、自然言語処理やネットワーク解析によってSNSの情報拡散やコミュニケーション構造の分析をしました。どちらもプログラミングを用いて社会にアプローチする実習で、楽しみながら取り組むことができました。
「人間行動記録システム」移動速度をk平均法でレベル分けして地図上にプロット
(k平均法: データの集まりを似た者同士でグループ化する機械学習の手法の1つ)
システム創成学科は自由な雰囲気です。必修は上記のプロジェクト型演習しかなく、学科内の指定科目から選んで履修する「限定選択」の単位数も比較的少ないです。そのせいか、興味に合わせて他学科の授業に潜ったり、部活・サークルに打ち込んだり、実際に会社を経営していたりする人が多めだと思います。自由で明るい雰囲気の中で、ユニークな人々と現代の問題を解決するシステムを創るのに挑戦してみたいと思った方は、是非システム創成学科に来てくださいね!