オープンキャンパス(工学とは何かⅡ)
こんにちは!機械工学科3年の竹下です。
今日は8月1日(水)の東京大学オープンキャンパスで開催された「工学とは何かⅡ」という模擬講義の様子を紹介します!
11時から講義開始とのことで10分ほど前に会場に向かってみたのですが、講義室の周辺を1周できそうなほどの長蛇の列が既にできていました…!定員オーバーで入れなかった人もいる様子で、会場は大盛況でした。
まずは、電気電子工学科の田中雅明先生の講義からスタートしました。今や日常生活に不可欠なものとなったスマートフォンなど、コンピュータの心臓部に用いられている半導体のお話でした。コンピュータの心臓部にある半導体集積回路には、MOSトランジスタという部品が数多く用いられています。このMOSトランジスタは「スイッチ」のような役割を果たしており、「ON」と「OFF」を切り替える働きによって、コンピュータは情報を記憶したり、計算するなどの処理をしたりすることができるそうです。半導体技術はこれからの発展が期待されています。これまでの半導体は主に電子の電荷を用いて作られていましたが、それだけでなくスピンという電子の磁石のような性質も用いた新たな半導体の研究を進めているとのことでした。
続いては、社会基盤学科の長山智則先生による橋についての講義でした。
私たちが日ごろ当たり前に、何の心配もなく使っている橋ですが、実はその橋が壊れないためには様々なことが考えられています。その中でも一番大事なのは、橋に加わる力が、橋自身のもっている強さを超えないことです。橋の強度を高めるためには、例えば、橋に使われる部材の質量を増やす方法があります。このとき、同じ重さの2つの部材を重ねるだけでは強度はほとんど変わりませんが、もとの2倍の重さの部材を使って橋を作れば、その強度は4~5倍にもなるそうです。また、橋の強度となると、つい橋本体に注目してしまいがちですが、それだけではなく、例えばワイヤーを支える山といった、橋の設置されている環境による影響も非常に大切だとおっしゃっていました。
最後は精密工学科の梅田靖先生によるサステナビリティ・サイエンスについての講義でした。
サステナビリティ・サイエンスでは、様々な学問分野の枠を超えて、地球環境や経済活動の持続可能性(サステナビリティ)を実現するために取り組んでいます。資源の再利用や、廃棄物の削減は工学にとっての大きな課題の1つで、国連開発会議(UNDP)の持続可能な開発目標(SDGs)(注)でもあげられています。使われない可能性のある機能を用意したり、必要以上の強度をもたせたりすることは、資源の無駄になってしまうという考え方でものづくりをしていくことの重要性が説明されました。例えばテレビでは、放送を見るという基本的な機能に加えて、使用者の必要に応じて番組の録画などの追加機能を増やしていける、アップグレード設計が紹介されました。(ただ、なかなかメーカーが採用してくれない、と先生は残念そうでした…)
1時間もないわずかの講義時間ながら、様々な話題が紹介され、高校生が多く訪れる今回のオープンキャンパスで、高校までの授業がどのように大学での勉強やそれぞれの学術分野につながるのか、またどのような研究が行われ、社会に役立っているのかが、わかりやすく説明されていました。
高校生のみなさんの講義を真剣に聞く姿が、大学生の自分にとって非常に刺激になった模擬講義でした!
注:国連開発会議(UNDP)の持続可能な開発目標(SDGs)とは、貧困に終止符を打ち、地球を保護し、すべての人が平和と豊かさを享受できるようにすることを目指す普遍的な行動を呼びかけるために、国連開発会議(UNDP)が設定した17の目標のことです。
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