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工学部生が選ぶ、いちばん推したい本 vol.1
こんにちは。技術経営戦略学専攻修士1年の櫛田です。
先日、別記事「
Ttime!最新号発刊しました!
」にて完成をお知らせしたTtime!特集号2016「
工学部生 研究と学生生活
」は読んで頂けましたでしょうか。
その特集号で行った企画の一つである、現役工学部生170人を対象としたアンケートにより明らかにされた工学部生の生態の一つが、
「工学部生は本を読む」でした。
この記事を読んで、工学部生はどんな本を読んでいるのか気になりませんでしたか?
そこでTtime!webにて新企画
「工学部生が選ぶ、いちばん推したい本」
を始めたいと思います。
普段は研究など学業に打ち込んでいる工学部生が、趣味として、もしくは勉強のために読んでいる本の中で、
一推しの本
を紹介してもらおうという企画です。
さっそく第一弾、始めてみたいと思います。
記念すべき一人目は、化学システム工学専攻、平尾・杉山研究室所属の修士2年生、白畑春来さんです。白畑さんはTtime!の元代表でもあります。我らが元代表はどんな本を読んでいるのか、単純に気になったというのがトップバッター指名の理由です。
白畑さんが今回紹介してくれたのは、Alex Shearerさんの『The Great Blue Yonder』です。日本語訳版も出版されています。
櫛田「どんな本なのでしょうか?」
白畑「この物語は、ハリーという主人公の男の子が交通事故で死んでしまった場面から始まります。物語中では、「この世」「あの世」「彼方の青い世界」という3つの世界が存在します。普段生活している世界「この世」、死んだ人が生前の姿・記憶を保ったゴーストとして存在する世界「あの世」、そして、個としての姿・記憶は失い、大きなエネルギーの流れの一部となって次の生命に繋がる世界「彼方の青い世界」です。例えば、枯れ葉が落ちて腐葉土となり、次の木を育てる栄養分となる、という流れがわかりやすいかもしれません。「この世」で死んだ人は全員「あの世」へ行くのですが、「彼方の青い世界」は「あの世」のゴーストが決断したときに自発的に行く世界です。なので「この世」に未練のあるゴーストは永遠に「あの世」を彷徨い続けることになります。ハリーも「この世」に未練があって「あの世」を彷徨うことになります。」
櫛田「僕もハリーみたいに「あの世」を彷徨い続けちゃいそうな気もします笑。「彼方の青い世界」に無理に行かなくてもいいんじゃないですか?」
白畑「この本をお勧めする理由の一つでもあるのですが、私自身も
ダイナミックな生命のうねりの中にいる
なと思うことが多いんです。何かを食べる、本を読むなど身近なこと全てに前の生命からのエネルギーを感じます。食べ物はもちろん生きとし生けるもののエネルギーを直接いただいていますし、本は先人が多大な時間と労力をかけて遺してくれた産物ですからね。また、私自身も次の生命にエネルギーを送る立場にあると思っており、例えば子孫をつくる、研究であれば論文で後世に知を残すことで貢献できると思います。自分一人の生命ではなくて、ダイナミックな生命のうねりの中にいる存在なんです。そのためにも、もし「あの世」に行った場合、「彼方の青い世界」に私は行きたいなぁと思います笑。それに、「あの世」に行かずとも「この世」においても、自分一人の生命ではなくて前後にダイナミックな生命のうねりがあると思うと前向きに頑張れるんです。」
櫛田「そう考えると「彼方の青い世界」は行くべき世界な気がしてきました。まずは「この世」に思い残すことなく「あの世」に行きたいですね。」
白畑「そうですね。私は普段、医薬品、特に注射剤の研究をしているのですが、延命等に使用される注射剤に触れることもあって、この本は
”生きることの質”とは何かを考えるキッカケ
となりました。生きている間にやりたいことってなんだろう、死ぬ間際になって人生やりきったと思える生き方ってなんだろうと。研究を進めて行くうえでも、日々を生きるうえでも大切なことをこの本は教えてくれた気がします。」
櫛田「この本読んでみたくなってきました。他にもこの本をお勧めする理由はあったりしますか?」
白畑「この本は
英語の勉強になる
と思います。元々通っていた小学校の図書館で日本語版を読んだことはあったのですが、ある日洋書屋さんで原書を見つけて手に取りました。読んでみると簡単な英語の組み合わせで多彩な表現をしていることに驚きました。特にクライマックスのこの辺り(ネタバレになるので載せられません笑)の、ほとんどIとamと○○(読んで確かめてみてください)のみで構成された文の羅列による表現には感動しました。この英語の感覚は留学中にも役に立ったと思います。」
櫛田「英語の勉強にも最適とはこれは読むしかありませんね。白畑さんありがとうございました。」
いかがでしたでしょうか。このように現役工学部生の紹介を兼ねて、彼らの考え方に大きな影響を与えた本を紹介していきたいと思います。編集部では工学部生一推しの書籍を随時募集中です。
我こそはと思う方は
ttime.todai@gmail.com
までご連絡ください。お待ちしております。
(文責:櫛田峻裕)