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総合科目特集のイントロダクション

こんにちは、工学部広報アシスタント 物理工学専攻修士一年の柳光です。
みなさんは、駒場で1、2年生向けに毎年開講されている、「工学部による総合科目」はご存知でしょうか。これまでは「現代技術」と「人間・環境一般」「物質・生命一般」「数理・情報一般」の中で開講されてきました。ですが、今年のA1、A2タームからこの枠組みが大きく変わります。

「現代技術」は
○現代工学概論
○環境・エネルギー工学概論
○物質・生命工学概論
○情報・システム工学概論
に変わり、「○○一般」の中に含まれていた科目は「○○基礎」という名前に変わります。また、名前が変わるだけでなく、科目の「役割」も変わります。
ズバリ「総合科目改革」です!

具体的に何がどう変わるのか、総合科目改革の工学部での責任者である佐久間先生 (精密工学科教授) に詳しくお聞きしたので、まとめてここに載せようと思います。
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「概論」・「基礎」の役割と両者の関係について教えてください
今年から、「概論」と「基礎」はより両者間のつながりを意識したものになります。まず、この両科目の役割について説明します。
「概論」 (現代工学概論、環境・エネルギー工学概論、物質・生命工学概論、情報・システム工学概論) は、工学を「見せる」ための科目です。具体的に言うと、工学部の各学科がどのようなことをしているのかを紹介する科目です。しかし、ただオムニバス形式で紹介するのではなく、一本の柱を各科目に設定していることが昨年からの変更点です。例えば、現代工学概論では、「工学は現実の問題を解決する学問」という柱を切り口にして、各学科の先生を招いてその先生が行っている具体的な問題設定とその解決について講義します。ちなみに、私は現代工学概論で、先端医療技術の持つ未知のリスクと利益のことや、その上でどう先端医療技術を使っていくかということを講義します。
一方、「基礎」は、「概論」の4科目それぞれと関連した内容の科目ですが、「概論」と違い、ある1つの学科の研究を紹介する科目になっています。「基礎」の中には1つの科目に2個以上の講義題目が設定されているものもありますが、これらは同時に取ることができないので、自分の興味に合わせて取ってもらうことになります。ただ、「基礎」には同じ名前で「○○基礎Ⅰ」「○○基礎Ⅱ」と番号付けされているものもあります。こちらは両方とも取ることができます。なぜこのような仕組みにしているかと言うと、同じような内容だけど違う学科で行われている研究を比較できるようにするためです。例えば、ロボットの研究にしても、機構をつくる研究と知能をつくる研究とでは研究内容に多少の被りはあるかもしれませんが、重きを置く場所が違います。こうした違いを見ることができるように、同じ「基礎」でも番号が違えば取ることができるようになっているのです。
以上のように、「概論」と「基礎」とを系統立てて勉強できるようにしたのが今回の総合科目改革です。(インタビュアー注:分かりやすいように図にしてみました。)
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工学部による総合科目を履修する学生に向けて一言お願いします
文系学生、理系学生問わず工学部による総合科目を履修してもらいたいです。
特に理系学生には「概論」と自分の興味に合う「基礎」を取って、各学科で何をやっているのかを知って進振りで専門に進むことをおすすめします。さらに全学ゼミを取って研究室を体験すれば、自分の進路がもっとはっきりしてくるかもしれません。また、文系学生には「概論」を取ることで、教養として「工学」を学んでもらいたいです。最終的には「概論」を通して、技術が社会を変えることを理解している文系学生が育ち、理系学生は自分がやっていることが社会を変えるかもしれないと理解できるようになれば嬉しいですね。

インタビュアーより
「工学」が社会とつながっているというのは考えてみれば当たり前のことですが、普段の生活で感じる機会はなかなか少ないと思います。というわけで、駒場生の方は、今年の冬学期から新しく開講される「工学部による総合科目」、特に「概論」を取って、教養としての「工学」や「工学」と社会とのつながりを知ることをおすすめします。そして、特に工学部志望の方は、そこで得られた知識を学科選択にも活かしてよりよい工学部ライフを送っていきましょう!
次回からは、「概論」の担当の先生方にインタビューして、各科目がどのような科目なのかを特集します。乞うご期待!
(インタビュアー 柳光孝紀)