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五月祭展示に行ってきました!(2)~化生系展示編~

2回目くらいの登場です、化学システム工学科の柴山です。

さてさて、今回は化生系3学科の展示の模様をお届けします。

化生系3学科は、応用化学科化学システム工学科化学生命工学科の3つからできていて、
五月祭ではそれぞれの学科から複数の展示ブースを出しています。
真面目すぎる話になってしまうので3つの学科の違いには今回は触れずに五月祭の模様をお届けします!

僕の後輩のやってる展示で、同様に展示を出していた昨年が思い出されます(笑)

パンフレットがかっちり作ってあったり、前日の準備の様子も楽しげでして、
それらを見るのも面白かったです。

3学科による9つのブース!


自己組織化ー分子の気持ちになってみようー(応用化学科)


boys-in-molecular-model

学生側で作成した自己組織化を説明するモデルの中に立つ説明担当の学生たち。

反応物(反応に用いる分子)を同じ液体の中に入れておくと、勝手に立体構造を作り出すという説明をしてくれました。自己組織化によって特定の分子を閉じ込めることもできるので、既存の方法では測定しづらい分子を閉じ込めて測定するという応用方法も研究されているようです。

工夫が見られて、さらに何より楽しそうでした!

キラルと匂い分子(化学生命工学科)


smell-and-chiral

分子の形が鏡像関係にあるものをどのように合成するかについて説明したモデル。この他に、実際に香りを発する分子の結晶も展示しておりました。分子の立体構造が異なるというだけで嗅ぐことのできる香りが異なってくるというのは面白いですね。その仕組についても解説していました!

・・・残念ながら香りはお届けできません、申し訳ありません><

細胞で絵を描いてみた(化学生命工学科)


bio-dying

こちら、微生物が光に当たると、高分子の”糊”が分離することを利用して、”糊”の残っている部分だけに着色したシートです。選択的に細胞を並べる事ができて、この技術を用いることで、細胞を自在に並べることができるようになるので再生医療への利用が期待されています。

生きた細胞、光ります!!(化学生命工学科)


make-sure-gfp-existance

GFP(Green Fluorescent Protein:緑色蛍光タンパク質)というタンパク質を合成して、実際に紫外線を当ててみることで蛍光を発することを確認している様子。

大腸菌の遺伝子を組み替えて、目的のタンパク質をたくさん合成できるようにしています。
GFPは、オワンクラゲから発見された蛍光タンパク質です。1960年代に下村脩によってイクオリンとともに発見・分離精製されました。この発見で2008年にノーベル化学賞を受賞しています。

ハイドロゲルが作り出す新未来(化学生命工学科)


hand-aqua-gel

このぶにゃっとした物質、なんだと思いますか?あ、右の紫のは、僕の同期の手です。握手してます(笑)
こちら、アクアゲルと呼ばれていて、高分子の一種で、90%以上が水分からなるという性質を持っています。

ゴム手袋で型を取ったのでこのような形になっていますが、医療用など、様々な用途に使われています。
一番の特徴は、有機物で構成されている点です。これにより、環境負荷の小さな素材として着目されています。
合成する素材次第では様々な硬さのアクアゲルが合成できて、用途別に作り分ける事もできます。

ペットボトルのライフサイクルアセスメント(化学システム工学科)


recycle-assessment

リサイクルの一連の流れを説明するブース。化学システム工学科には二酸化炭素排出量を計算して、どうやって排出量を抑えるかを検討するシミュレーション系の研究室もあるんです。

(モザイクが掛かってるのは、ペットボトルの「膨らます前」のものだそうです。ペットボトルの作り方意外に知りませんでした(笑)。厚みなどが知られてしまうとペットボトルを作ることができるので、基本的に企業秘密なんだそうです。なので、これらは当日参加した方のみへのサービスということでぼかしをいれてます。)

リサイクルとは本当に環境にやさしいのか?という部分を検討しています。評価指標(評価の基準)として、二酸化炭素排出量を計算することで最善のリサイクル方法を実際に計算した結果も示してありました。

リサイクルってそもそも、サーマルリサイクル、ケミカルリサイクル、マテリアルリサイクルの3つあるんですけど、ご存知でしたでしょうか?

それぞれの方法で必要となるエネルギーも、使用した電気量を元に二酸化炭素排出量へと換算できるので、最終的に二酸化炭素排出量の最も低いものを選べばいいわけです。

こういう研究もあるんだと勉強になりました!

光で水から水素を作る(化学システム工学科)


photo-catalyst

光触媒とは、光を当てることで水や汚れを分解することのできる物質のことです。

実際の実験の様子も載せられたらよかったのですが、
行ったときは準備中でした・・・
後から撮ってもらった実験装置が上の写真。実際に水を分解していることが確認できたようです。

photo-catalyst-poster

ポスターも充実してますね。

実際に、安田講堂の工事現場のパネルなどに使用されていて
重機から排出される硫黄酸化物などを分解・無害化することなどに
利用されているようです。

さまざまな触媒(応用化学科)


various-type-of-catalysts

触媒の性能を上げるために、粒子の形状を整えることを検討したりもします。
様々な用途に用いられる触媒を合成する上での技術を教えてもらいました。

化学工学と医療(化学システム工学科)


chemsys-x-medical

chemsys-x-medical-x-girl

(↑責任者の女子学生と説明用ポスター。化学システム工学科の学生によるブースは3つ中2つについて女の子が取りまとめてました!)

こちらのブースのスポンサーとなっている研究室が、僕の先輩の研究室なので迂闊なことは書けないです。
化学システム工学科は化学工学という学問を重視しています。その化学工学を再生医療という分野へ応用しているのがこちらの研究。
化学工学とは、化学の工程の中でも物質の収支や反応速度に着目して化学反応がどう進むかといったことを検討する学問です。この学問の知見を活かして、医療機器の機能の効率化を検討しています。

例えば、手術などで損傷した患部が他の人体の組織と癒着せずに回復できるように、ハイドロゲルを注射することで、治癒を早める研究などがあります。
このように、再生医療へのアプローチ方法として化学工学を使うことができるんですねぇ。

終わりに


お楽しみいただけたでしょうか?
実物を見なくて/香りをかがなくては実感できないものもありましたが、
五月祭の様子に触れることが出来たと思います。

化生系3学科による展示は、研究室からのバックアップが大きく、
最新の研究などにも触れた内容が展示されています。
3学科それぞれの切り口で化学を表現できたのではないでしょうか。

来年も、ご紹介したもののうちのいくつかは五月祭展示で開催されるので、
今年見逃した!という方はぜひご来場下さい。

(執筆:柴山 翔二郎)