こんにちは、工学部化学システム工学科4年、白畑です。
去年の11月に医療を変える工学最前線という名で、小中学生を対象に、サイエンスカフェを企画させていただきました。
(サイエンスカフェの当日の様子はこちらを参照してください。
3Dプリンタを用いて人工骨を作製するという研究を紹介したのですが、サイエンスカフェの企画を通して3Dプリンタの原理や応用例を知っていくにつれ、私たちが3Dプリンタの魅力にとりつかれてしまいました!
そこでサイエンスカフェ終了後、同じ企画者だった先輩の沼田さんとわたしが、大好きなキャラクターのキーホルダーを実際に作ってみることにしました。
本郷キャンパス内の知る人ぞ知る場所にあるものづくり工房に、3Dプリンタがあります。
米MakerBot製のReplicator 2Xという機種です。(このプリンタの性能については記事末尾をご覧ください。)
さっそく、事前にAutodesk 123D というCADソフトを使って作っておいた立体のモデルを出力してみます。このソフトは直方体、球、円柱など簡単な立体を組合せたり、自由曲面を作成する手順が直感的にわかりやすく、CADソフトの中では初心者でも簡単に立体モデルを作ることができます。CADソフトには不慣れな私でも、球体6つと、それぞれの形と位置を変えるという簡単な操作だけで、短時間で思いのままの形を作り出すことができました。
印刷スイッチを押すと、事前に作製した3次元データがソフト内で2次元平面にスライスされ、たくさんの断面図が生成されます。そして、下部の断面図から順番に、スライスされた2次元平面が再び重なって3次元となることで立体が作られます。100度近くに温められた樹脂が、断面図の形をなぞるように自動的に動くノズルの先端から放出され、室温で冷やされることで固まる、という仕組みで印刷がなされています。
開始して間もない様子。台の上に白い立体が印刷されているのが見えます。
待つこと20分。台の上に、設計したモデルとそっくりな形をしたモデルが出来上がっていました!
へらで台から取り出します。
目や鼻のパーツといった細かい部分もかなり正確に印刷されていました。また、ストラップを通せるように小さな穴も設計したのですが、きちんと綺麗に穴があいていました。
3Dプリンタを用いると、既存の立体作成技術(例:鋳造や切削)ではかなり作るのが大変だった、中空の物体や複雑な曲面を持つ立体を作成することができます。
自分たちで好きなように3D CADソフトで設計した立体を、印刷ボタン一つで手軽に実際の立体に変換できるという3Dプリンタ。その最先端の技術を使って、好きな形を手軽につくることで、ものづくりの楽しさを実感することができました。
3Dプリンタは本郷の生協でも20万円以下で購入することができ、身近な存在になりつつあります。使う機会がありましたらその魅力を是非一度体感してみてください!
※MakerBot社の最新デスクトップ3Dプリンター Replicator2Xは、積層ピッチ100ミクロンのエクストルーダーを2基搭載したデュアルヘッドモデルで、ABS素材に最適化されたスーパーフラットビルドプラットフォーム、新機に設計されたデュアルヘッドエクストルーダーを搭載、また、冷却ムラを防ぐアクリル製カバーによりより精密に3Dモデルをプリントする事が可能となりました。
※なお、ものづくり工房内に置かれている3Dプリンタは通常は鳥人間サークルF-tecや、RoboTechといった特別な団体にしか貸出していないようですが、今回はサイエンスカフェで3Dプリンタを用いたため特別に利用させていただきました。
(執筆:白畑春来)