こんにちは、化学システム工学専攻、修士2年の白畑春来です。

工学部では公式な国際交流プログラムや、留学、インターンの制度が豊富に用意されています。また、ものによっては、単位を取得できる場合もあります。
それらプログラムの様子を、実際に体験した学生の声を交えて紹介したいなという思いと共に、国際プログラム紹介、始まります!

Program File #1

  • アクティビティタグ
    短期  | 海外, 大学 and 企業 | 研究発表
  • 参加プログラムの内容
    スイス連邦工科大学チューリヒ校との研究交流(学部の卒業研究発表とそのディスカッションを含む)、Roche社でのライン見学と卒業研究発表
  • 主催組織
    工学部化学システム工学科 平尾・杉山研究室
  • 関連事業
    スーパーグローバル大学創成支援事業における戦略的パートナーシップ構築プロジェクト
  • 訪問先
    1. ETH Zurich(エーテーハーチューリヒ、スイス連邦工科大学チューリヒ校。スイスのチューリヒにある、非英語圏でトップの理工系大学。)
    2. Roche社(ロシュ社。スイスのバーゼルに本社があり、世界的な製薬企業で抗がん剤をはじめとするバイオ医薬品で世界トップシェアを誇る。インフルエンザ治療薬のタミフルも主力製品の一つ。)
    引率していただいた杉山弘和先生がPh.DをETH Zurichで取得され、その後Roche社で勤務されており、研究においても交流が深いため、この二つの機関を訪問しました。
  • 訪問期間
    2015/2/28-3/6
  • 参加者
    指導教員(化学システム工学科の杉山准教授)と研究室の同期学生(藪田啓奨くん、横川直毅くん)と白畑(当時学部4年生)

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(チューリヒの街並み。高い尖塔を持った教会が特徴的。)

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(バーゼルの街並み。ライン川が市の中心を悠々と流れています。)

訪問記

ETH Zurichでの研究発表・討議

冬晴れの空のもと、成田空港からチューリヒに飛行機で移動。

途中で乗り換えたデュッセルドルフでは、整然と滑走路を行き交う飛行機を眺めながらドイツビールをいただき、乗り継ぎ待ち時間の活用方法を、先生から教えていただきました。

チューリヒ市内の観光

活動の初日は日曜日だったため、研究室と交流のあるETH Zurichの修士の学生に市内を案内してもらいました。

スイスの山のきれいな眺めをチューリヒ市外の小高い山、ユートリベルグから望み、夕食ではスイス伝統料理のカツレツである、コルドン・ブルーに”カツ”を入れてもらい、翌日の研究発表に備えて就寝。

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(夕食のカツレツ。発表への緊張からか(?)、半分も食べられませんでした…。)

いよいよ研究発表当日

研究交流を行うのは、ETH ZurichのHönggerbergキャンパスにある、Prof. Dr. Konrad Hungerbühlerの研究室*です。(*Safety and Environmental Technology Group、化学製品の製造プロセスなどを多角的な観点から評価し、デザインするための手法構築をしている。)

まず午前中は、ETH Zurichのキャンパスや建物内の見学、研究交流をする研究室や、それと同じ建物内の別研究室の様子を見学しました。特に実験室では、高価な装置が多くあり、環境の整った様子が見られました。

ランチを学食でいただき、英語のみならずドイツ語が多く聞こえてくる環境にも慣れてきたところで、研究発表が行われる部屋に移動。

私たちは、訪問のつい3週間前に書き終わったばかりの卒論の成果をスライド10枚ほどで発表しました。

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(研究発表の様子。少し緊張気味?)

卒論研究の対象は、医薬品の一種である注射剤の生産プロセスです。近年導入されつつある新技術と、今まで使われてきた既存の技術の性能比較を、コストや環境負荷の面から行う手法を開発しました。

自分の研究を対外的に、しかも海外の大学のグループに向けて行うなんて、とても貴重な機会ですが、発表を含め一人当たり20~30分も時間をとっていただき、私たちの慣れない英語にも辛抱強く、丁寧に質疑応答をしてくださいました。

自分の研究に対しての多くの質疑応答、またETH Zurichの学生からの興味深い発表を多く聞いたため、頭がパンパンになりながらも、休憩室に移動しコーヒーブレイク。一同みな、飲み物片手にテーブルサッカーに興じていて、熱心な研究討議の後のメリハリの良さが印象的でした。

Rocheでの見学

製造現場の見学と、研究発表

滞在の後半では、世界的な大手製薬・ヘルスケア企業であるRoche社を見学し、卒論で取り組んだ研究の発表やディスカッションを行いました。

本社とは離れた場所にある、薬の有効成分である原薬から製品を製造する工場がある事業所を訪れ、研究対象にしているプロセスが実際の製造装置を使って行われている様子を目の当たりにしました。体内に直接投与する注射剤は無菌環境で製造する必要がありますが、その環境を保持するために、全身をすっぽり覆う服に着替えなければならず、通常の化学製品の製造プラントとの違いを体感しました。

また研究発表を行わせていただくことで、実際の製造現場のプロセス改善に携わる方たちから、貴重なフィードバックを得られ、さらに考慮するべき項目や、今後の発展性について議論ができました。

本社のあるサイトの見学

Roche社の本社は、このように現代的で立派な建物ですが、不思議とバーゼルの落ち着いた街並になじんでいました。

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(ライン川の対岸に見えるRoche社の本社ビル。スイスで一番高いビルなんだとか。)

本社のあるサイトでも、原薬を製造しているラインを見学し、国際的な大手企業のスケール感や、整った労働環境を実感することができました。

訪問を終えて

初めてのスイスということもあり、到着してすぐの頃は右も左もわからないまま先生の背中についていく毎日でしたが、研究交流を通して自分の研究の位置づけを理解でき、これからのモチベーションを高められた有意義な1週間でした。
特に、私たちの東大での学部生の卒論研究を、ETH Zurichでの修士研究や博士研究と同等の場、また世界的な企業であるRoche社で議論をさせていただいたことで、自らの研究に対して自信を持つことができました。

最後に

記事執筆にあたって、訪問先での素敵な写真を提供してくれた同期に、感謝の意を示したいと思います。また記事の構成や表現は、杉山先生の監修のもと研究室内で発行された「スイス出張 報告書」を参考にしました。

なお、Ttime!webでは、過去にはこんな国際プログラムも紹介しています。ご参考までに。

(執筆:白畑春来)