こんにちは、化学生命工学科4年の森です。五月祭展示に行ってきました!シリーズ第1弾は、化学・生命系 学部3年生による学術展示「体験!化学・生命研究の最先端!」の模様をお伝えいたします。
化学・生命系は応用化学科・化学システム工学科・化学生命工学科の3学科から成り、化学の力で人々の生活を豊かにすることを目指して、原子・分子レベルの視点からものづくりを行っています。私自身、昨年の五月祭でこの学術展示に携わっていたため、今年はどんなことをしているのだろうと期待に胸を膨らませながら取材に行って参りました!今回は、サイエンスショーと超臨界水、ゼオライト、ソフトマテリアル、電池の展示について紹介させて頂きます。

まずはサイエンスショーへ!化学の魅力を分かりやすく伝えたいという思いから、今年新たに始まった試みです。取材では5/14(土)12:00〜の回を見学しました。

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ショーはクエン酸と重曹をつかった発泡実験からスタート。食紅で着色されたクエン酸溶液に重曹を入れると二酸化炭素が発生し、もこもこと泡が…!お客さんからは「お〜!」と歓声が上がり、スタッフの方もとても楽しそうに新聞紙で泡をせき止めていました!

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次に、表面に傷をつけても傷がすぐに消えてしまう不思議なシートが登場しました。このシートはひも状の分子とリング状の分子が組み合わさったポリマーからできており、一度傷がついてもリング状分子がひも状分子を通って自由に動くことで、傷を埋めることができるのです!この「自己修復能」から、スマートフォンの保護シートなどに活用されているそうです。

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その後行われた吸水性ポリマーの実験では、様々な種類の吸水性ポリマーが紹介されました。それぞれ用途が違い、すばやく水を吸収し硬くなるものは止水材に、柔軟性を維持したままゆっくり水を吸うものは紙おむつに利用されているそうです。さらに、履き心地の改良された高品質おむつには、吸水後さらさらとした粉末になるポリマーが使われているとのこと。おむつもどんどん進化しているんですね!すごい!

次は光触媒シートを用いた実験でした。水中にあるシートに光をあてただけで気泡が発生!これは人工光合成の一種で、泡の正体は水素と酸素です。水から燃料電池の材料となる水素と酸素を、補助電力を用いずに太陽エネルギーで作ることのできる手法として、環境・エネルギー分野において注目を集めているそうです。

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最後に「化学は面白い!!」というメッセージがスクリーンに映しだされ、ショーは終了。幅広い年齢層の方が見に来ており、立ち見もでるほどの大盛況でした!

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サイエンスショーを楽しんだ後は、超臨界水のブースへ。水は臨界点と呼ばれる超高温・超高圧の状況を越えると、液体とも気体とも異なる性質を示すようになります。液体のような高い密度と気体のような大きな運動エネルギーを併せ持つこの水が「超臨界水」です。この超臨界水に有機分子を溶かすと、通常は進みにくい反応が進みやすくなることが知られており、近年注目を集めています。例えば、酸化剤を添加した超臨界水は難分解性のダイオキシンやフロンガスといった有害物質も分解できるため、これら物質の無毒化処理などに応用されています。写真は超臨界水酸化装置で、赤色102号という人工色素が分解され、溶液が透明になるというデモンストレーションが行われていたようです!(残念ながらタイミングが合わず見ることができませんでした…)

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隣にはゼオライトのブースがありました。「ゼオライト」とは結晶性の多孔質アルミノケイ酸塩の総称で、吸着能とイオン交換能を持ち、ケイ素とアルミニウムの比率や穴の大きさによってその性能を制御することができます。身近なゼオライトの応用例としては洗剤。硬水に多く含まれるカルシウムイオンは洗剤の洗浄力を落とすことが知られていますが、ゼオライトはカルシウムイオンを吸着できるため水軟化剤として添加されているそうです。

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次はソフトマテリアルのブースで環動ゲルの解説をして頂きました。一般的な高分子ゲルは三次元網目状のほぼ均一な構造をもっているため、外部から力を加えると力の逃げ場がなく簡単に構造が崩れてしまいます。しかし高分子の鎖にリング状の分子を通し、更にそのリング同士をつなぐことで「滑車」のような構造を作ると、高い柔軟性・弾力性・耐久性を持つようになります。これは「滑車」が高分子の鎖を自由に動くことによって、力のかかる点を分散する(滑車効果)ためで、このような特徴をもつゲルは「環動ゲル」と呼ばれています。

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自分たちで合成したという環動ゲルを実際に触らせて頂きました!
柔らかいのにしっかり弾力があって、なんとも気持ちいい…
合成にはかなり苦労したそうで、「試行錯誤の末、やっと五月祭直前にうまく作れるようになりました!」とスタッフの方が話して下さいました。サイエンスショーで登場した傷のつかないシートも環動ゲルで、他に力学的特性が生体材料に近いことから人工血管や人工関節への応用も研究されているそうです。

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最後に電池作りを体験してきました。容器に食塩水を入れ、炭素棒の先端にアルミ箔を巻き、それを割り箸で容器に固定すれば…あっという間にに完成!身の周りにあるもので簡単に作れるんですね。

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展示内容を説明するだけの一方向の発信になりがちな学術展示ですが、お客さんとのキャッチボールを通して分かりやすく化学の魅力を伝えたいという思いが強く感じられる素敵な企画でした。なにより、いきいきと化学を語るスタッフの方々の姿が、化学の魅力を体現していたのではないでしょうか!

取材に協力してくださった化学・生命系3学科の皆様、ありがとうございました!

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応用化学科化学システム工学科化学生命工学科

(執筆:森 千夏)