染谷隆夫先生(電気電子工学科)
専門は有機エレクトロニクス。バイオ・医療をはじめ、様々な分野に応用できる柔らかい有機デバイスの開発を行う。右図は染谷研究室で開発された世界最軽量、世界最薄の柔らかいセンサーシステム。装着感なく手に貼り付けることができ、将来的には体温や心電などの生体信号を継続的に測定することが期待されている。
染谷研究室: http://www.ntech.t.u-tokyo.ac.jp

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学生時代のサークル活動:白ばら会合唱団
休日の過ごし方:散歩。小石川植物園や上野公園周辺をよく歩く
趣味:散歩と写真。中学時代は天文部で、よく天体写真を現像していた
工学部の魅力といえば:いま研究しているものが10年先の未来を作っているという感覚・やりがいを味わえること

「現代工学概論」とはどのような授業なのですか?
 まず「工学とはどういうものか」ということをお伝えしたいと思っています。それにあたり、特に工学にあまり馴染みがない1年生に対しては、工学部には他の学部と比較してどういう違いがあるのかを説明するのがわかりやすいでしょう。私の「現代工学概論」は、対比されることの多い理学と工学の違いを説明するところから始まります。それにより「工学とは何なのか」を理解していただいた後、工学の中で私の研究している電子工学がどのような位置づけなのか、そして電子工学の中で私の研究している半導体はどのような位置づけなのか、さらに私がなぜそのような研究をしているのかということを順にお話ししたいと思っています。

理学と工学の違いについて詳しくお聞かせいただけますか?
 理学は神様が作った自然の法則を定式化して明らかにする学問ですが、工学は自然にあるものを人間が目的に合わせて使っていくという学問です。これってスタート地点から全然違いますよね。工学部はSchool of Engineering、つまりエンジニアを生み出しているのですが、実はエンジニアの仕事って、ある目的のために有限のリソースを活用して最大限の効果を上げることなんです。限られたリソースの中で効率よく問題を解決することができたら、これはすごいじゃないですか。もちろん理学と工学のどちらが良い・悪いというのはなくて、理学で自然を理解することは素晴らしいことですし、一方で自然の法則を使って課題を解決し、未来を作り出していく工学もやりがいがあると思います。

理系だけでなく文系の学生も多く履修すると思いますが、特に学生たちに伝えたいことはありますか?
 例えば私の研究分野で言うと、「柔らかい生体情報センサーであなたの心拍数や体の動きをインターネット上に流し続けられたら、あなただったら何がしたいですか?」ということを考えるのは、理系も文系も関係ないんですよ。これは理系だけの話ではなくて、政策や法律も関わってきます。私の研究に限らず、最先端の問題になると文系の人も理系の人もみんな一緒になって解決するようにならなければいけません。これだけ科学技術が生活に広く浸透している中で工学を知らなくていいということはあり得ないので、是非このような授業で「新しい技術によって世の中の生活がどう変わっていくんだろう」ということに興味を持ってほしいし、理解を深めてほしいと思います。

最後に、駒場の学生に一言お願いします。
 「まず広く興味を持って、選択の幅を狭めるな」と言いたいです。面白いこと、やりがいのあることは世の中に沢山あるのに、それを知らずに目が向かないのは惜しい。駒場は興味を広げるいい機会なので、是非広く目を向けて、その中から自分の向いているもの・興味のあるものを選択してほしいと思います。

ありがとうございました!

インタビュアーより
 一口に「工学」と言っても、電気・機械・情報・材料・建築など、その分野は多岐に渡っており、改めて「工学とはなにか?」と聞かれてもなかなか的確な答えを出すのは難しいかもしれません。しかし、染谷先生のおっしゃっていた「限られたリソースの中で効率よく問題を解決する」という考え方は、あらゆる工学の分野に広く共通する精神ではないでしょうか。自分はあまり工学には馴染みがないな、と思っていても、周りを見渡せば「工学」は至るところにあり、社会を考える上で工学は欠かせません。科学技術や工学に興味のある方はもちろん、私たちの社会の現在や未来を工学の観点から考えてみたいという方にもおすすめの科目です。

(インタビュアー 鈴木悠司)